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(出発前夜)
ハルヒルに向けて山ばっかり登っていたこの3ケ月。
流石にGW頃になると「たまには平らな道をのんびり走りたい」と思うようになっていた。
そんな折に嫁から「梅雨に入っちゃう前に泊まりでしか行けないようなとこに行ってみれば?」なんてお言葉が。
なんなら予算の補助もあると言う。
すわこれは不倫妻の常套手段かとの不安が頭をよぎり些細なケンカでついつい手を上げてしまう、ような事はまったくなく「そっかー、ふーん、じゃあどこいこっかなー???」と想像をめぐらせ、PCで地図を開く。
「海が見たい」
日程を決め、宿を取って、怪獣のバラードを口ずさむ日々が始まった。
なるべく調べない旅にしよう
(1日目MAP)
海までのルートはいたって単純、いつも走っている利根川沿いをずっと、ずーーーーーっとひたすら下れば海に出られる。
一度これをやってみたかった。
調べてみるとだいたい自宅辺りから200kmちょっとで海。
丸1日のんびり走って夕方港にたどり着く、そして夕焼け色に染まった海を眺める、これが理想なんだが200ちょいの距離だとちょっと忙しない、もしくはかなり早朝からの走りだしになる。
今回は2日目もあるし温存しておきたいので、始発輪行で熊谷までショートカット、そこから利根川CRにリカバリーすると20~30km短縮&温存、という計画に。
今回はゴール地点とおおよその到着時間以外は決めない事にした。
川に沿っていけば海に出られる道理だから地図もルートもほぼ必要ない。
どこに道の駅や休憩所があって、どこに立ち寄りたいというのも調べなかった、日没まで走り続けられるペースで進み疲れたら休む、お?と思ったところで足を止める。
そういう当たり前の事を改めて決めないと、トレーニングベースでやれAve.○○km/hだやれ獲得標高だと自転車本来の楽しみを忘れた日本人の何と多いことでしょう、と怒られてしまう。
そしてなぜか行田にいる
6月2日 06:45 行田駅前。
3度目の輪行にして畳み方も雑になるし緊張感をまるで無くしてしまったおじさん、順調にタラタラパッキングして始発を1本逃し、しかもinstagramを見ていたら「熊谷~熊谷~」のアナウンスにビクッとして、ドアの上には「熊谷」の文字、ドアも開いてる。
で自転車この状態。
慌ててベルトを解いて、バックパックを背負い直すが間に合うはずもなくドアは閉まる。
数人いた乗客の心の嘲笑が聞こえるが、「ま、まあ行田スタートでいいか、距離別に変わらないし、そういうのがアレだよね、自転車の?いいところ?だよね、自由?みたいな?」と心の言い訳で対抗して、次の行田駅で「さーて行田に着いたー!」って感じでさらーっと降りて出発。
こいつは幸先がいい。
7時前、週末という事もあってまだ交通量はさほど多くない。
一気に公道をずばーっと15kmほど突っ切って、“道の駅はにゅう”から利根川沿いに入る。
この地点で「海から150km」看板。
185km~160kmくらいまでは何度も見たが、その続きを0まで手繰り寄せていくのがこの1日目なのだ、と改めて実感する。
(つづきます)
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