2018-10-21 12.38.21


無事修理から戻ってきたGUSTO RCR TE Eliteで久々のロングライド、ぶどう峠を登ってきた。

帰ってから気付いたのだが、愛車を撮る自分の姿が石碑にばっちり映り込んでしまっていたので少々画像処理を、なんともかっこ悪い感じになってしまった。

しかしそんな事はどうでもよくて、この直後の下りでタイトルの通りかなりヤバめのハンガーノックに初めて陥ってしまい、まったく動けなくなってしまった。

向こう三年分くらいの幸運を使い果たす僥倖もあって事無きを得たのだが、今回はそうなるまでの過程と、そこからわかった事を恥を忍んで記録しておきたい。



「お腹空いたと感じた時はもう遅い」という通説

2018-10-21 08.16.00


2018/10/21、この日は控えめに言ってめちゃんこいい天気であった。

前橋市の最高気温は24℃、標高の上がるぶどう峠付近でも20℃近くはあったはずである。

前日に登山なんぞを嗜み、疲れが残っているようならもう少し軽めのルートに変更しようかとも考えていたが、まあこのくらいの疲労感なら行けるだろう、本格的に寒くなる前にぶどう峠行っておきたいし、と出発した。

夏の間はBCAAをプラスした薄めのポカリを作っていったが、熱中症の心配をする時期も過ぎたのでボトルは水に戻し、補給食をいくつかサドルバッグへ。


2018-10-21 08.57.38


赤い吊り橋とエメラルドグリーンの湖面、神流湖はいつ走っても気持ちのいい道だ。

ここまでの登りも終始順調、帰宅後に見たStravaではPRも出ていたのでやはり前日の疲労など恐るるに足らずだったわけだ。


神流湖を抜けて群馬側から上野村・ぶどう峠に向かう途中には3つ道の駅があり、補給は主にそこで行う事になる。

まず1つ目、道の駅・万葉の里に到着して約50km、家を出てから2時間ちょい。

なんか入れておくか、と足を止めて持参の一本満足バー。

ハンガーノックの怖さを語る人達からよく聞くのが「お腹が空いたと感じる前に食べる」というやつ。

だが正直、これまでの経験から「そんなに過敏にならなくてもいいんじゃない?『お腹空いたからそろそろお昼ご飯食べたいなー』って感じでこれまで何回もロングライドしてきたよ?」と思っていた。

この補給も休憩と気分転換の意味合いの方が強かった。


2018-10-21 10.37.42


その後、道の駅・上野(約60km地点)では水を購入、そろそろ峠も近いのでここで持参のアミノゼリーを入れておく。

ほどなくしてある川の駅・上野(約68km地点)をパスするとぶどう峠の入り口、十石峠は前回から依然通行止め継続中

この先を曲がった所がぶどう峠のスタート地点とされている。


さて、ここまでに食べた物は「いつもの朝食(朝粥・卵)」「一本満足バー」「アミノゼリー」となる。

こうして見ると確かに少なめではある、しかしまだ70kmほど、峠を1本登って降りてからがっつり昼食でも遅くないだろうと思っていた。

「お腹が空く前に~~」なんて言うけど、お腹を空かせて食べるご飯はおいしいもの。



ぶどう峠、死の行軍

2018-10-21 10.54.55


改めてぶどう峠のコースレイアウトは約15.5kmで900mちょっとのUP、平均斜度は6%を切るくらいである。

個人的なベンチマークであるハルヒルと比較すると、ちょっと長くてちょっと緩やかなよく似たコース、終盤に向けて斜度が上がっていくレイアウトも似ている。

まあだいたい抑えながら走っても1時間ちょいくらいという目算になる。


コース前半、斜度が5%に届かない辺りでゆるゆる登るゾーンはなんでもなく、30分弱くらいで半分まで来ている。

しかし少し坂がキツくなってきた辺りであっさり1回目の足着き、「いやー、やっぱ昨日山登ってるから脚きてるわー」なんて思いながら、一息ついてまた出発。

そこから後は惨憺たるものだった、トータル10回くらい足を着いたんじゃないだろうか。

何せ力が入らない、「最近ちょっと太ったんだよな、それも効いてるんだろうな」、日が当たっているとそうでもないが木陰に入った途端にゾッとするくらい寒くなる、「今日はけっこう暖かいって聞いてたけど標高上がるともう寒いんだな」、全部そんな風に自己完結していた。

結局、後から見ると一目瞭然だが、後半の半分に1時間半かかっている。

何せインナーローに落としても10%程度の坂が思うように登れないのだ、明らかにおかしい、おかしいはずなのに全部「山が~~」とか「太った~~」とか適当な理由で、何となく不調なだけだと思い込んでいた。

今朝の予定ではぶどう峠を越えて長野側に降りて田口峠から帰ってくる周回コースの目算でいたが、時計を見て「あー、こりゃ無理だわ、ピストンで引き返そう」とかその程度にしか考えていなかった。

ちょっと時間を計算すればわかるはずの「おかしさ」なのに、ここまで来たんだからなんとか峠まで、せっかくだから一目眺めて帰りたい、と1ケタの速度で這うように進んでいく。


2018-10-21 12.53.11


途中で空腹に耐えられず最後の補給食・ブラックサンダーも食べてしまい、正にからっケツになって峠までやってきた。

しばし休息の後、空腹もいよいよ極まってきたので写真を撮ったら来た道を下りに入った。

これだけ不調でもあとはただ下っていけば道の駅に着くから大丈夫だろ、と。



しかし下りこそ危険だった

2018-10-21 12.49.17

(そもそもこれで寒いわけがない)


ここまでの内容でわかるだろうが、峠を登り始めた頃からもうハンガーノックの入り口まできていたわけだ。

今回思ったのは、力が入らなくなる、動けなくなる事ももちろん大変な事だが、何より「気付けない事」が恐ろしいと感じた。

聞いて知識として持ってはいるハンガーノックだが、自分が生まれて初めて「それ」になっている事に初期段階で気付ける人はなかなかいないのではないかと思う。

僕自身が気付いたのは、もういよいよどうにもならなくなってからだった。


下りに入ってまず感じたのは「異様な寒さ」。

つづら折れを下っていき、日向と日陰が交互に現れ陰った瞬間凍えるように寒くなる。

あまりにも寒いので日向で少し足を止めて暖まったほどだ。


その内に自転車の上で姿勢を支える事ができなくてフラフラしてしまう。

なんだか危ない、何がどうなのかわからないけど危ない、低血糖状態で頭が全然回っていないから余計に状況が把握できない。

ようやくこれがハンガーノックだと気付いたのは、下りの途中に少し現れる平地でまともにペダルが漕げなかった時だ。

ただの平地なのに、頑張っても10km/hくらいしか出せない、全く力が入らなくなっている。


次の日向で自転車を降りて、路肩の安全地帯までヨタヨタと歩きその場にヘタりこんだ。

たぶんこの辺の地形に見覚えがあるから、あと1kmかそこらで道の駅という辺りまでは来られたとわかった。

だがそこからが一歩も動けない、そのうちに眠気までやってきた。

どうしようか、休めばあと1kmくらいは進めるだろうか、でもエネルギーの枯渇がただの休憩でどうにかなるのか、自転車には乗ると危ないから歩いてなら進めないか、これかなりヤバい状況なのかな、今通った車が声かけてくれたら、歩きたくない、動きたくない。


朦朧とそんな事を考えている内に、たぶん5~10分くらい寝てしまっていた、ハッと顔を上げるとちょうど1台の自転車が下ってきたところ。

見た感じ高校生くらいの少年、このおじさんの結構なヤバさを感じとったのか「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。

しぼり出すようにして状況を説明する、どうやらハンガーノックらしい、ちょっと動けそうにない。

「何か持ってます?」と厚かましいとは思ったが背に腹は代えられないので聞いてみると、羊羹1つなら持ってるという。

申し訳ないとは思ったが、頼むとバックパックから出して渡してくれた、手が震えてフィルムも上手く切れなかったが、1口2口食べるとそれだけで意識が少しはっきりしてくるのがわかった。

血糖値やべえな、こんなにはっきり出るものなのか、1本食べ終えると体が動きそうな感覚が戻ってきた。

ありがとう、たぶんいけそう、少し休んだら降りてみる、と伝えると少年は先に下っていった。

こうして1人の少年と1本の羊羹に救われ、なんとかあと1kmを進む事ができた。

緊急時の羊羹、マストだな。


2018-10-21 16.59.40


その後、道の駅で甘いコーヒーや今川焼やカツカレーやとにかく帰宅分のエネルギーを詰め込み帰宅。

今朝通ってきた神流湖に向かいながら「そういやあの少年には悪いことしたな、仮にもおじさんなんだからちゃんとお礼を形にしておくべきだった」とか考えていると、信号待ちで再会した。

すっかり元気になりテンションも上がり倒していた僕はここぞとばかりに「ありがとう!」を20連発くらいして、代金だけでも返すよ!と申し出たがイイッス、イイッスと遠慮されてしまった、めっちゃナイスガイ。

その後ももう10連発くらい「ありがとう!」を繰り返し、それぞれの帰路に着いた。


まったく予定通りに進まない、こっぴどい1日ではあったが色んな意味で記憶に残るライドだった。

次の日、コンビニで羊羹を買ってトップチューブバッグに入れた。




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