「屋外での運動は原則禁止です」
ここのところ、ほぼ毎朝ニュースキャスターのそんな注意喚起を聞いては憤りを感じているのではないだろうか?
週末の最高気温がどうにか下がらないか、午前中だけでもギリギリ自転車に乗って生存できる感じの暑さに収まらないか、と祈るように天気予報アプリをチェックしているのではないだろうか?
もう僕はそういう「待ち」の姿勢に飽きた。
だって無理だから、そんな日は当分きやしないから。
天気が良く、でも気持ちよく乗れる週末は、自ら獲得しに行かない者には与えられない季節なのだ。
AM2:00に起きて絶景ライドしてきた
今回は「超早朝ライドノススメ」なので結果・結論から。
群馬県みなかみ町の絶景スポット「一ノ倉沢」、谷川岳の麓を自転車で登れる(舗装されている)最終地点。
ここに7時30分に着いた。
午前2時起きて、3時出発、で7時30分にここ。
早朝で標高も高いので快適、下界は夜明け過ぎからもう30℃に届こうかという狂った世界だが、ここは気温も湿度も低く気持ちいい。
切り立った岩場の威圧感に目を奪われ、川の澄んだ水は飲み放題、バックポケットでくしゃくしゃになったミニあんぱんすら美味い世界。
午前3時に家を出るというのは、ちょっと頑張ればどうにかなるラインの努力だ。
それで休日の朝をこんな景色の中で迎えられるし、あとは山を下って本格的に暑さがやってくる前に上越線で輪行して帰ってしまう。
僕はたっぷり下り基調を楽しんでから、9時過ぎに沼田駅に着いて約100kmのライドを堪能して帰る事ができた。
一ノ倉沢では沢の水を汲みにいってみたり、あんぱん&一服のベストポジションを探して散策してみたり30分くらいゆっくり休んでいたし、水の補給もあったので70kmの道程で3回くらい停車、帰りの30kmでも一度木陰に退避休憩。
そんな感じのスローペースでグロス17km/hといったところ、頑張って急いでコースを消化したといった感はない。
超早朝ライドのいいところ
まずなんと言っても涼しい。
3時にスタートが切れると、日の出が早いこの時期でも1時間半乗ってもまだ朝日は差さない。
前橋のような内陸の酷暑地域では、この時期の最低気温が25℃以上の日も珍しくない。
この日もしっかりと27℃の最低気温が計測されていた。
27℃ってけっこう暑いじゃん!と思われるかもしれないが、僕らが「今日の最高気温は27℃です」と言われている日中に感じる暑さは27℃ではない。
気温の計測は日陰で風通しがよいポイントで行われているので、街頭インタビューなんかで直射日光にガンガン当たりながら「あっついですね~……」とげんなりしているしている方の体感気温は+10℃くらいだったりする。
公道のどこを走っても「27℃の日の日陰」だと考えると、生命の危機を感じることなく走れるだろう。
そして圧倒的な走りやすさ、交通量の少なさ。
大型トラックがビュンビュン飛ばしているような幹線道路だけ避ければ、週末なら8時くらいまではハイパーチャリンコタイムである。
そりゃそうだ、週末朝寝を楽しむ市井の人々は朝5時に谷川岳を目指していたりはしない。
早起きした者にだけ与えられる三文どころじゃない特権をむしゃぶり尽くしてほしい。
更に、朝日が美しい。
オーバーナイトランほど頑張ったわけじゃないが、まだ完全に暗い3時から出発しているので、空が白んで朝日が差し込んできた時には「夜をくぐり抜けた達成感」のようなものもある。
で、おまけに1日が長い。
100km走って充実して家に帰ってシャワーを浴びてもまだギリギリ午前中。
昼食を取ってから少し午睡もいいだろう、起きたらアイスでも食べよう、こんなのもう夏休みだ。
超早朝ライドの注意点
(リアは二灯体制)
年間で最も日の長いこの時期でさえ真っ暗な時間に家を出るので、ライト類には十分気を配る必要がある。
少ないとは言え交通量が無いわけではないし、だからこそ向こうも油断してるしスピードも出している。
僕はフロントに普段夜にCRを走ったりするための眩しいくらい明るいライトを持っているが、サブで点滅用の物を付けても良かったかなと思った。
道幅のある道路で街灯に混じりながらぽつねんと自転車が走っていると、本当に移動体として認識されているのだろうかと不安に感じる事もあった。
リアは二灯で、1つは日中でもずっと点灯しっぱなしにできるメインと、もう1つは暗い時に点滅させておくサブ。
ロングで峠越えを走る事も多くなって、日中常時点灯可能なランタイムの長いリアライトを持つようにした。
特にリアライトは手元で簡単にON・OFFができないのでトンネルに入る時なんかにもまごつくし、「短いトンネルだからまあいいか!」とか無精しがちになる。
キャットアイのオムニ5ならたかだか¥1000程度の投資で済むし、丸一日でも余裕のランタイムなのでぜひ推奨する。
そして、十分にライト類に拘ったとしても、本当に真っ暗な道、街灯の無いCRなんかは丑三つ時には避けた方がいい。
実は今回、自宅を出て序盤にCRを通ったのだが、タヌキを引っかけてしまった……
見通しが悪く、野良猫がよくいるゾーンだったので、カーブ終わりに何かいても止まれるくらいの速度で走ってはいたのだが、こちらの眩しい灯りでパニックになったタヌキが茂みから飛び出してきて避けようがなかった。
「やっちゃった……」と思って引き返してからようやく何にぶつかったかわかったくらい直前の距離だった。
罪悪感に苛まれつつ手を合わせて先に進んだが(速度も出てなかったのでタイヤ・ホイールに支障は出なかった)、こういう事があると少なからず動揺する。
すぐにCRを出て一般道路に移って、この精神状態のまま深夜の公道を走り続けると次は自分自身がやらかしてしまいかねないので、改めて気を引き締めたが後悔は拭いきれなかった。
CRは走るべきではなかった、ライトがどうのというのは所詮人間の世界の理屈でありルールである。
深夜くらい彼らの生活圏はそっとしておいてやるべきだった。
もう1つ今回気を配ったのはルート。
目的地を一ノ倉沢にしたのは、上越線の沿線を通り続けられるからでもある。
予想以上にペースが落ちれば谷川岳を降りてすぐに水上駅から電車に乗る事もできるし、トラブルで走行できなくなっても一番近い駅でリタイアできる。
人を頼りにできない時間だからこそ、最低限自分で何とかできる下準備をしておいた方がいい。
あとはやっぱり前日早く寝る事、僕は8時半に布団に入り9時には寝た。
「それより遅くなったら許可しない」ときっぱり嫁に言われたからでもあるが。
それにしてもタヌキ、本当にすまなかった。
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